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原作本が絶版で、著者の方の同人誌でしか手に入らないそうです。簡単にあらすじ。
会社員森野要は、山九亭初助(さんきゅうてい うぶすけ)の技にほれ込んで、自分も落語家になるため内弟子入りする。初助は女役に定評があった。
あるときお座敷で、師匠の窮地を救おうと馬鹿げた尻芸をしたせいで、怪我をした要は兄弟子の寒也(かんや)とわりない仲になる。
その後師匠の高座を見た要は、寒也が以前初助と関係があったことを悟り、初助は自分と寒也を芸のために利用したと思う。
今は高名な落語家となった要=山九亭感謝は、師匠の葬式に寒也とともに列席し、初助の人となりに思いを馳せる。
主人公の要は、ペルソナ4のクマの人。この人がうまい。大学を卒業してから内弟子になったのに、かわいくていつも一生懸命で。テレビ映えもする愛すべきキャラクターとして適任だったと思う。内弟子仕事をそつなくこなす寒也の神谷さんは、優等生だけど小粒な感じは出ていたけど、「芝浜」の女房役を演ずるところは劣って見えてしまう。また、ご本人の容姿を知っているので、寒也の「大柄で短髪、男らしい風貌」というのは、そう思い込まないとそのようには聞こえないのは、ネット時代の欠点ですね。
落語はもちろん、都都逸あり、BLに当然の濡れ場もあって、声優さんたちは大変だったと思う。落語にも都都逸にも詳しくはない私には、お三方とも高座の場面は「落語家らしい」演じぶりだったと感じました。
残念なのは初助師匠の三木さんが、山口さんのモノローグで「すごい…!」と感嘆される素晴らしい落語家に思えなかったこと。もっとも、時代設定が昭和で、初助も昔の人なので、情念は秘め、にじみ出る色気、「すべてはらのなかに飲み込む」女のやり口を物にした男と言われれば、そういうものかという気もします。
ちなみに続編の「花扇~座布団2 初助編~」では、一層初助に焦点が当たっているためか、素直に「…すごい!」と思えたので、三木さん狙いならそっちがお勧めです。