サン・テグジュペリの有名な本「Le Petit Prince」をフランス語で味わうための指導書。上智大学での講義をもとに作られたこの本は、「読みながら語学力を向上させたい人」のために、他に揃えたいものを四つあげています。
・原書
・フランス語の辞書
・フランス語文法が書かれた解説書
・フランス語動詞活用表(あるいは、変化表となっていることも。)
確かに、フランス語学習に必須なものであるので、初学者に親切な、そしてコンパクトな本です。文中でも分量に限りがあるので抜粋ではありますが、文法解説も含めて、短い部分をていねいに、味わうことができます。
この本を手に取った私は、もちろん、フランス語でこの名作を読みたい気持ちがあるのですが、その理由の一つとして、邦訳や英訳では、原文のエッセンスが抜け落ちてしまっているのではないかと疑ってもいるからです。
ゲーム「ペルソナ2罪」では、この作品の英訳から、一説が、淳の父親(元の人)が持っていたライターに刻まれていました。(設定資料集に見られる画像では、刻まれた英文は下記のものと異なっていたかもしれません。製作者がどの版を使用したのかは不明)
内藤灌の岩波版で親しんだ箇所ではあるけれど、私はなぜここで仏版を使わなかったのかとあじきなく思ったものです。
L'essentiel est invisible pour le yeux.
What is essential is invisible to the eye.
フランス語をかじったことがある方なら、上の原版と下の英訳(私の持っているのは一番安い、新書型のペーパーバックです)がほとんど一対一の単語対応で構成させているのに気づくことでしょう。ですが…違うのです。決定的に。
この本では、理解の助けに英訳もときどき対照されます。しかし、
>英訳は、ある意味で日本語訳より正確になり得るかもしれません。(中略)
>英文のはどこか劣ってしまいます。一輪の生花、それを精巧に模した造花、
>そんな感じがするのです。
と書かれています。意味はすくい取れているけれど、詩的ではない。いままで名状できなかった違和感が書かれていて、救われた思いがしました。
来年の春の仏検試験は久しぶりに受けようと思っています。