2007/07/21(土)アニメ「地球(テラ)へ……」感想

珍しく家にいたので見ました。第16話「赤い瞳 蒼い星」
1週遅れでネットで視聴できることを昨夜知った。で、14話も見た。
これ面白い。地上波、深夜枠でなくゴールデンタイムは絵も綺麗だねしかし星ひとつ破壊できるビームを単身飛んでってバリヤ貼って止めるなんて死にかけてるのに、原作もこんなだったかな。そういえば、思念波でレーダーから隠れるバリヤ貼ってる癖してやたら勝手に突破してブルーもジョミーも飛んでく奴だった。「惑星の自転を止められるか」とかの原作もだんだん思い出してきたぞ。
またコミックス買ってきて読もうかな。

2007/07/16(月)ドラマCD「ボーダー・ライン」感想

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#asin: is not allow
「ボーダー・ライン」
初対面の人間に「どこかでお会いしましたか」と尋ねられて、普通以下のようには返さない。
「あなたが選んで下さい。『はじめまして』と、『またお会いしましたね』と、どっちが良いですか」とは。
 オリジナリティを自己演出の第一に置いている由利潤一郎だからこその台詞だけれど、もしももう一度、同じ相手にこの台詞を言うことになると知っていたなら、彼はこの言葉を選んだだろうか。自分の存在を忘れてしまったかつての恋人に、初対面として問いかけられて、それでも微笑しながらこの台詞を言えるだろうか。
 この台詞、最初のときは奇天烈にしか聞こえないのに、二度めにはこれ以上状況に沿った言葉は選べない。由利の台詞に宿る魂が、二人の運命を自らに相応しいものに押し流したようにも思える。尤も、前作「グレイ・ゾーン」では真行寺佳也に当たる、由利の恋人であった刑事は殉職している。「ボーダー・ライン」の執筆にあたり「グレイー・ゾーン」における設定すべてが制約となって苦しんだとあとがきで書いている作者は、ストーリー構想のどの段階で、由利にこの台詞を言わせることに決めたのだろう。CDで佳也を含めた刑事たちがタンクローリー事故に巻き込まれたシーンを初めて聞いた時には、てっきり主人公は、ここで死んだと思った。この事故で負った外傷により、佳也の中で由利に関する全てが葬り去られてしまったのは確かなので、ミスリーディングを誘うこの場面の演出も間違いではないのだが。
幕切れのあと、「佳也と由利の未来がここから(また)始まる」かは定かではないけれど、たとえ記憶が戻らないとしても、由利と親密にならない未来につながったとしても、佳也が生きていた方がずっと良い。ペルソナ3発売から一年、フェス発売からも三か月経つので、反転せずに書いてもネタバレにはならないでしょうから書きますが、主人公はやはり死なない方が良かったですよアトラスさん。

#asin: is not allow

「ペルソナ3」順平役の声優さん主演のドラマCDで非常に評価の高い作品です。1995年リリースの三枚続きのタイトルですが全部きかないとストーリーがわからない。少し迷いましたが買って正解でした。(余談ですが、単行本の内容をドラマ化するなら最低二枚組が必要なのかもしれません。一枚ものだと、進行上重要なシーンがばっさり落とされていたり、好みのシーンが描写不足になって物足りなく思うケースが多いように思います。)この種のCDで売りの濡れ場はもちろん三枚それぞれに入っていて(ないと売り上げが落ちる巻が出るのかもしれません)、内容が全部違います。

#asin: is not allow

端的に言うとこれは回復の物語です。接触恐怖のある主人公が、危機的状況の中で、同性からの性愛を受け入れて身体感覚を取り戻していく物語。よく考えてみれば、主人公は肩を叩かれるくらいの接触は拒否反応が出ないし、同僚と飲みにも行く、快楽に弱かった生みの母親の欠点は自分で調べて知ったことで、本人自身は伯父の家で、育ての両親と従兄達(兄達)に可愛がられて育っている。一方ボーイズラブの主力読者である女性には、あたりまえの第二次性徴を周囲から嫌悪されたりなどの経験から、性的存在であるセルフイメージが損なわれている場合も珍しくないので、よく考えればそう簡単な話ではないとも思いますが。CDを聴く時はあまりそこまで考えず、由利の柔らかい声をガイドに、自分の存在をまるごと受け止めてもらえる安心感を堪能すれば良い。
効果音や音楽も秀逸です。場面ごとに決まった曲が流れているようですが、台詞を邪魔せず、目立ちすぎずシーンを盛り上げる使い方がされています。囁くような台詞が多いので、BGMの音量が大きすぎないのは助かります。最後の幕切れのところでハトが数羽飛び立つような効果は、明るい未来を連想させて爽快感がありました。

2007/07/16(月)小説「烈火の契り」感想

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#asin: is not allow

子どもの頃一週間だけ父に連れられて滞在した神喜島に、28歳の大里斎は仕事で訪れた。会社はこの島全体を開発してまるごとリゾート地にするつもりだが、斎はそれを何とか止めたかった。案内人として現れた高良はかつて遊んだ同い年の少年だった。島と斎の父との因縁、以前は気がつかなかった高良の目の下のほくろ、少しずつ明かされる謎とともに斎は高良の熱に馴らされて行く……。

性を宗教的儀式として扱う小説は多いが、この作品は珍しく荒唐無稽に見えない。南国の自然とそこで育まれた高良の野生的なたくましさがきっちり描かれているために、その世界を土台に載るものとして、生涯独身の伝い手とその「つがい」という設定も違和感なく受け止められるのだ。
島にまつわる悲劇が第二次世界大戦末期の逸話と台風被害であるのも、ストーリーに現実味を濃くさせている。これが例えば大和朝廷や幕府のような中央政権のいずれとも接点のない、歴史というより神話であったならば、効果は半減していただろう。読み手が主人公とともに惑わされるのはただ高良にのみなのだ。
嗜虐すれすれの高良の戯れとそれに相反する感情をかきたてられながら捕らえられて行く斎の描写も見事だ。表紙とミステリー部分で読者を選ぶ作品かと誤解しましたが、実際は怖くなかった。

2007/06/25(月)ドラマCD感想「あしたのき みはここにいない」

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「あしたのきみはここにいない」
高校生と教師の恋愛もの。BLです。
4トラックの、主人公の姉からの解説を聞くまでもなく、教師の主人公への気持ちは聞き手には明白です。例えば「(主人公を)振り払っても振り払っても」といった言葉の選び方にも、どうせ長続きしないのだから関わりすぎないようにしたいが、突き放すのでもなく追い払うのでもなく、傷つけずに遠ざけたいという気持ちが伝わってきます。だから、教師の気持ちを疑ってハラハラさせられるのは語り手でもある主人公だけで、聞き手は安心して聞いていられます。
それにしても豹変してからの教師の台詞がすごい。せっぱつまった余裕のない口調も色気が滲み出ていて良いです。
加えて、このCDの神髄はフリートークにあると個人的に思いました。今回カップル役を演じたお二人は、声優養成所の同期だそうで、ナチュラルに世間話になだれ込んでそのまま歓談してしまっているのが、微笑ましく楽しそうでした。

2007/06/24(日)ドラマCD感想「グレイ・ゾーン」

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「グレイ・ゾーン」#asin: is not allow

続編で3枚もののボーダーラインが良かったので買ってみましたが、結果的にハズレでした。女顔の刑事で生真面目なタイプという主人公・譲は、「ボーダーライン」と共通項も多いのに、悪いけれどこっちは共感できません。冒頭で、私用なのに拳銃を取り出して片岡を追いかけるのも職業倫理的に問題ですし、部屋に連れ込んだ片岡に一服盛って既成事実を作るのも、麻薬捜査中のキャリア警部補とは思えない行動です。(あとで、主人公は医者である兄に騙されていて、催淫剤と思わされていたのはプラシーボであり、それを片岡も知っていたというオチはあるのですが、それは免罪にならないでしょう。)少し前の、勢いで読ませるタイプのBLなのかな……。
見せ場のはずの、敵の前で裏切りを強制されるシーンでも、譲は片岡に本当に麻薬を射たれると思っている描写になっています。こういう場合、相方の策略を察して工作しやすいよう協力するのがセオリーだと思うのですが……。
余談ながら、この場面のトリックがCDを2回聞き直しても分からず、原作を取り寄せて確認もしましたが再読でようやく理解できました……。
とはいえ、収穫が皆無ではなく、たとえば三木さんの由利がこのCDで既に確立していると分かったことと、「ボーダーライン」で感動した音楽が本作でも共通と判明したことは収穫でした。